防音性能を過信しない!高気密高断熱住宅の音漏れ

高気密高断熱住宅のセールストークに防音性を謡っていることがよくあります。
営業担当も「断熱材が厚いので防音性能も高いですよ」というのは日常的に言っているのではないでしょうか。
高気密高断熱住宅は結果として防音性が高いのですが、思ったより音漏れする可能性があります
それは音の種類にもよるので、楽器によってはほとんど意味がない場合も過去にはありました。

今回は、高気密高断熱住宅における防音性について解説します。

目次

結果としての防音性能

高気密高断熱住宅は断熱材が厚いため、結果として防音性能が上がります。
サッシに関してもトリプルガラスを使えば、ペアガラスよりは音の透過率は当然変わってきます。
これらは日常生活においては効果的で、中の生活音が聞こえにくかったり、外を通る車の音を遮ってくれるのです。

ただし、防音室として考えるほどの性能ではありません。
一定の条件であれば効果を発揮しますが、無理な場合もあることを理解しておきましょう。
セールストークに乗って、過度に防音性を信じるのは危険です。

防音性能もすごいですと言われました!

音の種類によって防音効果は変わる

オーディオやギター、トランペット等はある程度の防音効果が期待できます。
空気を振動させる空気音がメインの場合、厚い断熱材の壁で遮音されます。
これについては、私のこれまでの経験で裏は取れています。

空気音と固体音のイメージ

ところが、建物躯体を振動させる固体音については、音を止めるのがなかなか難しいのです。
ドラムやピアノ、2階設置のスピーカーなどは、建物の躯体を振動させるため外部への音漏れの原因となります。
固体音を止めるには、遮音マットなどで振動を少なくする工夫が必要です。
振動を伝達しないように、部材同士の縁を切っていく作業が必要になりますが、施工方法としてはかなり難易度が上がります。

空気音

空気中を伝わって耳に届く音

固体音

床や壁などの個体を伝わって聞こえる音

木造の2階にピアノを置くな!

これも私の経験ですが、木造住宅の2階にピアノを設置するだけはやめたほうがいいです。
電子ピアノなら問題ありませんが、アップライトピアノ・グランドピアノ共に高気密高断熱住宅による防音効果はほとんどありません

2階設置のピアノは、床を支える梁を振動させます。
梁はそのまま外壁へと振動を伝達させるため、厚い断熱材の遮音性能とは関係ないのです。
遮音マットを設置しても、ピアノの場合は気休めにしかなりません。
極力振動しないコンクリートの床でも施工しない限り、木造住宅にピアノを2階設置するのは避けるべきというのが私の考えです。

ほんとうにダダもれです。。。

防音の対象が何かは注意が必要だね

換気扇は穴なので音が漏れる

ピアノは極端な話なので、高気密高断熱住宅における日常防音の話に戻りましょう。
壁・床・天井については断熱材が厚く入っているため、防音性能は上がります。
サッシについても、トリプルガラスや内窓を採用すれば音の減衰性能は上がります。
ここで忘れがちなのが、換気扇の穴なのです。

換気方法にもよりますが、換気扇は単に外とつながる穴でしかありません。
ファンによって空気の出入りをコントロールしていますが、音はそのまま漏れます
特にダクトレス換気の場合は、換気扇の取付位置が各居室になります。
寝室などの静かな部屋は、取付位置を気にしておかないと外の音が気になってしまいます。

換気扇の位置は道路などの音源から離れた位置に設置するようにしましょう。

住まい手の防音に対する感想

私が高気密高断熱住宅に住んでいるので、実際の防音に対する感想を書いておきます。
ちなみに、セルローズファイバー100㎜+付加断熱80㎜です。

外で作業をしていても、耳をすませば子供の泣き声は聞こえます。
空気音に関しては、わずかに漏れるレベル。

それに対して子供の走る足音は、よく聞こえます。
これは躯体を振動させる固体音なので仕方ありません。

室内で換気扇の近くにいると、外の物音や話し声が聞こえることがあります。
これは音源の位置にもよりますが、換気扇は穴なので当然です。

このように、高気密高断熱住宅における防音性能はオマケ程度です。
たしかに以前の住まいと比べて静かになるのは間違いありませんが、過度に期待するのは危険です。
楽器などを使う場合は、防音性能を検証してから採用することをおすすめします。

防音室を体感する

防音部材である程度定評があるのが、建材メーカーのダイケンです。
ダイケンでは防音室のシミュレーションもしてくれるので、検討している方は必ず相談するといいでしょう。
防音だけでなく音響にもこだわるのであれば、吸音なども検討して残響時間をコントロールする必要があります。

これら防音室の効果は実際に体験しないとわかりにくいのですが、ダイケンのショールームでは防音室を備えている場合があります。
防音グレード別に、どのぐらい音を止めれるのかを実験できますので、一度体感しておくといいでしょう。

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