省エネだけじゃない!住む人にやさしいパッシブ設計の真のメリット

高気密高断熱を掘り下げていくと、パッシブ設計というワードに出会うことでしょう。
自然を味方に少ないエネルギーで快適に過ごす。それがパッシブ設計という手法です。
パッシブ設計は高気密高断熱住宅とセットであり、性能を発揮するために必要となります。
今回はパッシブ設計について解説します。

目次

パッシブ設計とは?

パッシブ設計もしくはパッシブデザインとも言います。
建物の形状や素材、配置などを工夫することで、換気や日射利用などの自然エネルギーを最大限に利用し、快適な居住環境を実現する設計手法です。

具体的には、建物の形状や窓の位置、断熱材の選定、日射を遮蔽するための装置などを考慮すること。
それによって、冬場の暖房や夏場の冷房に必要なエネルギーを抑えることができます。
高気密高断熱化そのものが、パッシブ設計の一部なのです。

パッシブデザインの概要

まずは方位を考える

太陽を利用するには建物の方位を考える必要があります。
太陽は東から昇って西に沈む。
南中時が最も高度が高く、夏と冬では軌道も異なります。
これは自然の摂理であり、そのためには土地の方位を把握する必要があります。

基本的には、大きな開口を南面に取る必要があります
太陽は真南で太陽高度が一番高くなり、利用するには最も簡単なのです。
次の項目で説明しますが、庇を付けることで日射をコントロールします。
夏は遮り、冬は取り込む。

真南から±15°以内が太陽をおいしく使える方位となります。

土地の方位が悪くても、建物だけ南に振ってあげると日射をコントロールしやすくなります。
狭小地で建物を振れなかったり、西面に大開口を取りたい場合は、別途日射を遮る部材が必要になります。

南面には積極的に庇を付ける

方位を把握したところで、南面には開口部を設置。
そして、開口部には積極的に庇を付けてください。

昔の日本家屋を想像してください。
南側には必ずと言っていいほど庇が張り出し、縁側が設けられていました。
庇があることで、太陽高度の高い夏の日射は遮り、冬は太陽高度が低くなるので部屋の奥まで日差しが届きます。
こうすることで、夏涼しく冬暖かい家が出来上がるのです。

一時期ブームになった、シンプルなボックス型の外観デザインは絶対ダメ
高気密高断熱住宅では、夏に太陽がサンサンと入って来る窓は致命傷になります。
魔法瓶のような断熱性能が入った熱を逃がしませんので。

見た目だけのデザインを選んじゃダメだね

大きな庇が作れなかったとしても、窓の上に小庇を付けるだけでも効果があります。
庇のサイズは、窓の高さ寸法の1/3が目安となります。

西面・東面にはブラインドなどが必要

西面・東面においては庇をつけても、ほとんど効果はありません。
なぜなら、日の出・日没の方向なので太陽高度が低く、真横から日差しが差し込むからです。

東の光は良いというのは昔の話。
高気密高断熱化によって、朝日であろうと夏場は熱源にしかなりません。

真横から差し込む日差しをどうやって止めるのか?
それには外部に設置する日射遮蔽部材が必要です。

日射遮蔽部材の例

・外付けブラインド
・外部シェード
・すだれ

外付けブラインドという言葉を初めて知った人もいるかと思います。
その名の通り、建物の外に設置するブラインドになります。

日射遮蔽の基本は外部で止めること。
室内のブラインドやカーテンで止めても、そこが熱源となってしまいます。
何も無いよりはマシですが。

夏の日差しは高気密高断熱の天敵

外部シェードとはロールスクリーンのような外用の部材があります。
外付けブラインドよりは割安になります。

日本的な部材としては簾(すだれ)がわかりやすいかもしれませんね。
ホームセンターで売っている日除けでもかまいません。
要は、外側で日差しを遮ることができれば何でもいいのです。
窓の外に木を植えてもいいですよ。

誰もがストレスなく住める家

高気密高断熱住宅は一部のマニアックな人のための家ではありません。
お父さんが毎日ブラインドを操作したりもいいですが、他の家族も住む家です。

断熱気密マニアのお父さんが先走らないように

お母さんが断熱気密に興味が無かったりします。
今までの家より快適で、電気代も安いね。とは思っているかもしれません。
高気密高断熱の家で生まれたお子さんは、この家が当たり前として育ちます。

高気密高断熱住宅は、誰もが快適で手間のかからない家にしなければなりません。
そのためには、パッシブ設計をベースとして自然の力を利用すること。
人の手が必要な操作、つまりストレスを最小限にしてあげることが大事です。

マイホームは家族だけが住むオーダーメイドの家として作りますが、将来的に手放す可能性もあります。
ライフスタイルが変われば、場所や大きさを変える必要があるかもしれません。
誰が住んでも変わらず快適な家であれば、買い手が見つけやすく流通のしやすい家ということです。
家づくりは将来の資産価値も考えておく必要がありますね。

家は地域の資産としても考えないとね

まとめ

パッシブ設計は自然の力を利用する設計手法。
方位を考え日射をコントロールすることで、快適な空間を作ることができます。

パッシブ設計が上手にできれば、人の手を介する手間が少なくなります。
住む人にストレスをかけることなく、誰でも快適に過ごせる家が出来上がります。

高気密高断熱住宅にはパッシブ設計をセットで考えていきましょう。

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